蓮台寺の墓

 葬儀改革に伴い、今までにはなかった新しいタイプの墓地が造られてきました。
嘗て墓地は土葬を前提としていたので、最低でも1坪の広さがありましたが、火葬になった今、墓は骨壺が収容できるスペースがあればよいという考えに立ち、新しく造るたびに墓地の広さは狭い方へと進みました。
その結果、たどり着いたのがロッカー式墓地です。

ところで、蓮台寺の古い墓地には非常に広いもの(最大で20坪)がいくつかありますが、そういう墓地と新設された0.5坪以下の墓地との間に、管理費(葬儀料、維持会費、長期積立金)に差がないという不公平があったので、現在は「墓地面積率」という概念を導入して、管理費の半分を共通負担、他の半分は墓地面積に応じた負担と改めました。
この考えは、おそらく「日本初」で、これが世間の安心を呼び、寺離れの風潮にもかかわらず蓮台寺への入檀が続いている(平成27年の入檀は36軒、平成28年は42軒、今年に入ってからは10月26日現在で32軒)理由の1つだと思います。

なお、納骨スペースの小さい墓地が可能になったのは、それに先立って、合祀の墓「一諸堂」を建設してあったからです。
このコーナーでは、墓地面積率、一諸堂と共に、新しい墓地を紹介します。



墓地面積率
・蓮台寺では、葬儀料、維持会費、長期積立金の負担は墓地の面積によって変わります。
その基礎となるのが墓地面積率です。

墓地面積率は平たく言えば
「畳半畳の倍数」のことで、1坪墓地の場合は面積率は4で、2坪墓地では8になります。
厳密には次式を四捨五入した整数値です。
  
墓地面積(坪)÷0.25坪   または
墓地面積(㎡)÷0.826㎡


① 1㎡の墓地では
  1÷0.826=1.21 だから
   墓地面積率は 1
② 3㎡の墓地では
  3÷0.826=3.65 だから
   墓地面積率は 4
  
なお、令和2年1月24日現在の葬儀料は
葬儀料=9万円 + 2.5万円 × 墓地面積率
だから、
1㎡墓地の葬儀料は
11万5千円、
3㎡墓地の葬儀料は
19万円です。
一諸堂
平成15年に建てられた合祀墓で、一諸堂と名付けられました。
建設した目的は3つです。
①いずれは骨壺でいっぱいになるカロートから、ここに遺骨を改葬する。
②後継者がいなくなった墓地や、遺骨を蓮台寺に残して離壇する墓地の遺骨をここに納める。
③霊園墓地の檀徒の遺骨を分骨して納める。
なお、檀徒に限り、霊園墓地のカロートがいっぱいになった場合も、ここに納骨できます。
ここへの納骨はどんな場合にも
無料で、すでに①、②と③のケースで、それぞれ複数回の納骨が実施されています。

このお堂には、希望すれば全檀徒が納骨できるので、ここでみんなが「いっしょ」になろう、という意味で「一諸堂」と名付けられました。
私の遺骨も、いずれはここに合祀されます。

一諸堂が出来たおかげで、従来よりも納骨スペースが小さい新タイプの墓地が、安心して求められるようになったことも、入壇増加の一因と考えられます。
後継者のいないご夫婦や独身の方が家族墓を契約されましたが、これも一諸堂があるおかげです。

なお、檀徒でない遺骨を永代使用料を払って納骨する、ということは認めていませんし、これからも認めない方針です。
家族墓Ⅰ
・最初は「夫婦墓」として作られました。
カロートには3つの骨壺しか納骨できませんが、いっぱいになれば一諸堂に納骨して、次を納めればよい、ということで、「後継が可能な家族墓」と、概念を改めました。
この墓地の形は、「蓮台寺オリジナル」で、今までに61基造られましたが、未契約で残っているのは1基だけで、契約料は38万円です。
なお、完成墓にするには墓石と香炉、花立てが必要ですが、標準を使えば、35万円で出来るので、トータルで73万円で墓が建ちます。
この墓地の葬儀料は15万円で、管理料(維持会費と長期積立金の合計)は年額7200円です。

家族墓Ⅱ
・「家族墓Ⅰ」には土の部分がありましたが、こちらは全部が石で出来た「丘カロート」というタイプです。
墓の大きさは「家族墓Ⅰ」より小さいけれど納骨スペースはこちらの方が広くなっています。
今までに52基造られ、そのうち5基が未契約で残っています(平成31年3月現在)。
契約料は40万円で、完成墓にするには墓石、花立て、香炉が必要なので、更に35万円が必要です。
なお、この墓地の葬儀料は12万5千円で、管理料(維持会費と長期積立金を合わせた額)は6100円です。
富士見墓
・平成22年3月に新たに造った6基。
家族墓Ⅰ、家族墓Ⅱでも求めにくいという声を聞きましたので、「完成墓で30万円の契約料」で提供できるように石屋と交渉して造りました。
ただし、墓石に文字を刻字する場合の「時価」は、契約者に負担してもらうことになっています。
なお、平成29年6月現在の時価は3万円です。
既に6基全てが契約され、そのうち3基に納骨されています。
この墓は西向きで、この位置からは富士山がよく見え、納骨の際に列席者が大いに喜んだことから、「富士見墓」と呼ぶことにしました。

なお、このタイプで一回り大きな墓地を23基造りました。
これも西向きで、富士見墓Ⅱと呼ぶことにしました。
契約料は40万円で、別途、刻字料金3万円が契約者負担となります。
蓮祐の墓Ⅰ
・42基が集まった期限付きロッカー式墓地で1つの墓には2つの骨壺が収容できます。
当初考えていたのは、後継者のいないご夫婦や独身の方が対象で、契約期間までは維持会費と長期積立金を納めていただき、それが過ぎたら遺骨は一諸堂に合祀されます。
しかし実際は、お子さんに先立たれたご夫婦も数組契約されるなど、柔軟に対応しています。
更に最近は、お孫さんのいるご夫婦の契約を認めました。
この墓に骨壺は2個しか収納できませんが、3個目を収納する場合は1番目を一諸堂に合祀し、4個目の場合は2番目を合祀するというようにすればよいからです。
こうすれば、「先祖代々の墓」と同じように子孫につなげることができ、しかも後継者がいなくなった場合には離檀が容易にできるという利点があります。
これからは、こういうスタイルを望む人が増えるように思います。
なお当初は、3個目からは、別途、納骨料をいただく予定でしたが、その必要は無いと判断し、無料としました。

契約料は、扉の刻字代金(2万円)を含めて12万円ですが、現在は42基すべてが契約され、残りはありません。
なお、この墓地の葬儀料は9万円。
管理料は維持会費が年額3千円、長期積立金が年額2千円です。

蓮祐の墓Ⅱ
・蓮祐の墓Ⅰが平成27年だけでも22基が契約され、このスタイルの墓を望む人が思っていた以上に多いことが分かったので、年末にもう1つのロッカー式墓地・蓮祐の墓Ⅱを一諸堂境内の外に新設しました。
ただし、個々の区画は蓮祐の墓Ⅰよりも小さく、蓮祐の墓Ⅰでは7寸の骨壺が納まるようになっていますが、蓮祐の墓Ⅱでは最大で6寸の骨壺しか納められません。
こうしたのは、狭いスペースにたくさんを造ろうとしたからですが、関西地方では、骨壺は最大で5寸のものを用いると知ったことにもヒントを得ました。

関西地方の骨壺が小さいのは、のど仏と頭部の遺骨だけを収骨し、残りは火葬場に預けるからだそうです。
しかし、小田原の火葬場で同じことをしてくれるかはわからないし、何よりも遺族がそれを受け入れてくれるかが問題です。
そこで、蓮祐の墓Ⅱの場合は火葬場で7寸の骨壺に収骨し、寺に帰り、6寸の骨壺に頭部の骨やのど仏などを移して蓮祐の墓Ⅱに納め、残りの遺骨は一諸堂に納めることにします。
こうすることをあらかじめ説明し、納得した家とだけ契約すればよい、というのが私の考えです。
平成29年10月現在、23軒が契約し、そのうち9軒が納骨しました。

なお、この墓の契約料は10万円、このうち、2万円は扉への刻字代金です。
また葬儀料と管理料(維持会費+長期積立金)は蓮祐の墓Ⅰと同じです。
一阿の墓
・葬儀社「湘和」の若き社員たちと一緒に仕事をするうち、経済的な事情や後継者がいないなどの理由で、埋葬場所に困るケースがあると聞き、造った墓です。
時宗では女性の戒名には「弌(一)号」が、男性には「阿号」が必ず付くので、そこから「一阿の墓」と名付けました。
今までに8人の遺骨が納められましたが、そのうち4人の遺骨は家族墓と富士見墓に改葬されました。
事情が好転した喜ばしいケースです。

最初の納骨料は、葬儀料も含めて、30万円でした。
これは葬儀社が決めたのですが、最近は10万円にしています。

この墓は全部で26個の骨壺を納められますが、いっぱいになれば、順次一諸堂に合祀されます。
ゆうの墓
・世の中には、「一阿の墓」でも対応出来ない場合があることを知り、平成22年5月に、「一諸堂境内」にこの墓は建てられました。
墓の下には、直径25cm、深さ10mの井戸が掘ってあり、遺骨はここに合祀されます。
納骨対象者は、蓮台寺の檀徒でない、身寄りのない方。
そういう方でも、葬儀料を納められれば、一阿の墓に納骨しますが、それも不可能な方です。
そういう方に限り、一切を無料で、葬儀・授戒をおこない、ここに納骨します。
すでに、67人の方が納骨されました。
(令和1年11月現在)

なお、ゆうの墓の「ゆう」とは、
  遊行(ゆぎょう)の「遊(ゆう)」
  有縁(うえん)の「有(ゆう)」
  蓮祐(れんゆう)の「祐(ゆう)」
  縁を結ぶの「結う(ゆう)」
  友達(ともだち)の「友(ゆう)」
  優(やさ)しいの「優(ゆう)」
  悠々(ゆうゆう)の「悠(ゆう)」
  それに
  あなたたちの「You(ゆう)」
  などなど、を意味します。
住職の墓
・住職になって実感したことは、寺の衰退の原因のひとつは、住職の世襲制にある、ということです。
法的には、寺は個人の所有物でないのは当然ですが、実態はそれに近いものになってしまっています。
「個人のもの」という意識があれば、必ず「欲」に惑わされてしまうのが人間の弱いところで、どんな組織もいずれは衰退してしまいます。
私には、「寺を継ぐ」という意識が全くなく、別の理由で住職になりましたので、はじめから本来の寺のあり方に則って運営するのを当然と考えてきました。
常々檀徒には、「総理大臣だって、国民のひとりでもあるので税金を払っているでしょう。同じように、住職である私は、蓮台寺の1檀徒でもあるので、皆さんと同じように寺にお布施を納めるのです。」と説明し、維持会費、長期積立金は勿論のこと、母の葬儀料や墓地の契約料を払ってきました。

1檀徒である以上、墓も自前のものを、と考えて契約したのが上の写真の「家族墓Ⅰ」です。
ここに、妻とお母さんの3人で入ることになっています。
私たちには後継者がいないので、3人全部が死んだ後は、契約期間まで墓地を残し、それが過ぎたら墓地は撤去され、遺骨は一諸堂に合祀されます。

境内には「歴代住職の墓」があり、先々代と先代の遺骨が納められていますが、これもいずれは無くした方がよいと思います。
これからの時代、住職だからといって、墓を特別扱いするほどのことはないと思うのです。
私もそうですが、今の僧侶は、単に「免許取得者」に過ぎません。
「家族持ち」が当たり前になっている今、嘗ては存在した「本来の僧」は、もはや存在し得ないので、その実体に合わせて、それぞれが自前の墓を用意し、そこに入るのが、葬式寺院たる蓮台寺を長続きさせる最善策だと思うのです。

俱の墓
・ペットの墓で、山門を出て直ぐの東側にあります。
倶(とも)に生活した、という意味で「倶(ぐ)の墓」と名付けました。
殆どが犬の遺骨ですが、猫とウサギも納骨されています。

納骨する場合には、骨壷から骨を出し、さらしなどの布にくるみます。
この墓の下には、基礎の石とほぼ同じ面積で深さ1.5mの穴が掘ってあり、そこに「合祀」されます。

納骨料としては、二千円をいただいています。
契約・未契約
・参考までに、家族墓、富士見墓、蓮祐の墓の契約状況を以下に示します。
なお、富士見墓Ⅰ、富士見墓Ⅱとあるのは、最初に建設した6基と新たに建設したものを区別するためで、タイプⅠよりもタイプⅡの方が広く、タイプⅠの契約料が30万円だったのに対し、タイプⅡは40万円です。
墓地の建設状況、契約状況が変わるたびに、このコーナーは更新されます。

   総数  契約数  未契約数
 家族墓Ⅰ 61 61
 家族墓Ⅱ 52 49
家族墓Ⅲ 16 15
 家族墓Ⅳ 6 
 富士見墓Ⅰ
 富士見墓Ⅱ 23 23
富士見墓Ⅲ 
蓮祐の墓Ⅰ  42 42
蓮祐の墓  43 43
蓮祐の墓  16 16
 蓮祐の墓
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44 12
33
合計  315 278
37
  令和3年1月24日現在